医療法人社団 北林厚生会 五条山病院

看護部長からのあいさつ

患者様に寄り添い、共に歩む看護

2018年4月より五条山病院の看護部長に就任させていただきました。この場をお借りして一言ご挨拶をさせていただきます。

誰の目にも明らかであったり、原因や治療効果が比較的分かりやすい形となって表れる身体疾患とは異なり、目に見えず、はっきりした原因も分からず、様々な要因が複雑に絡み合って起こる精神疾患は、今も昔も社会から理解が得られにくいものです。そのような現状は、現場で働く者にとってはとてももどかしく、ジレンマを抱えることも多くあります。何より精神疾患を患っているご本人やそのご家族は本当に大変な思いで日々を過ごされており、一日も早い救いの手を待ち望んでいる方々が大勢いらっしゃいます。そのような方々の思いに少しでも寄り添い、共に歩むことが、私たち精神科医療に関わる者の役目ではないかと思っております。

看護師は「命を預かる現場」に日々携わっております。「命」というのはただ「生きている」というだけでなく、その人自身の生活やその人らしさ、家族の思いや生活、その全てを意味するものであると思います。私たちはその事をしっかりと理解し、思いやりの気持ちを持ち、少しずつ信頼関係を築きながら、患者様とご家族に寄り添っていきたいと考えております。この思いを強く心に刻み、五条山病院が社会の皆様に少しでも精神疾患を理解していただける発信源となり、地域でお困りの方々のお役に立てるよう努力を重ねてまいりたいと思っております。

私自身も日々学びながら、微力ではありますが看護部の統括としての責務を精一杯果たす所存でおります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

精神科の看護というのは、経験がない人にとっては分かりにくいところがあるかもしれないですが、特徴的なことなどはありますか?
特別というようなことはないかもしれないけど、本当にその方を思う気持ちが大事ですよね。精神科の患者さんは心の病気なので、関わる私達が本当にその人のことを思う気持ちがないといけないですね。

精神科の患者さんはすごく敏感なので、うわべだとすぐに見抜かれてしまいます。本当に患者さんを大切に思うという気持ちが大切ですね。

確かにそうですね。実際に看護師が治療そのものに関わる度合いが大きいようにも思いますが?その通りです。例えば、不安や興奮があっても、きちんと患者さんに入り込んでいれば、薬を使わずに安定させることもできます。私達自身が治療そのものになるんです。極端ですけど、そうなれば、薬はいらない。実際には、精神科の病気の治療に、薬は重要ですけれどね。

それと同等に環境が大事。環境というのは、建物や自然などの環境もそうですが、職員のシフトとか個性とかも含まれます。そこにいつもの人がいるというね。

当院では、急性期と療養がありますが、それぞれのポジションで、自分の個性を活かした看護をしていくことができると、より一層すばらしいなといつも思っているんです。

看護師自身が治療そのもの。役割は大きいですね。治療における看護師の役割は本当に大きいですよ。言葉かけや表情などによって、患者さんがよくなったり、場合によっては悪い影響を与えてしまったりする。だから一つ一つの態度や行動が大切なんです。

大変そうですが、やりがいも大きいでしょうね。どんな時にやりがいを感じるものですか?患者さんから受け入れられたときが、一番やりがいを感じるときですね。

例えば、自分の中に閉じこもってしまっていて、周囲の人に全く反応しないような患者さんもいらっしゃいます。

そういう方に、何年も「おはよう」とか「いい天気だね」などと声をかけていくと、何年かして「あんた昨日、休みやったんか」とか言ってもらえることがあるんです。「ああ、この人はちゃんと分かっていたんだな。気づいていたんだな。」ということが分かる。

だから、看護部長になった今でも毎日ラウンドして患者さんに声をかけています。受け入れてもらえて、そして患者さんがよくなっていく。こういうことを実感できることはすばらしいやりがいです。

「何年も」ですか。すごいですね。ところで、看護部長としてスタッフの方々に対して気をつけていることはありますか?気をつけているということとは違うかもしれませんが、スタッフを家族だと思って接しています。

私よりも年上の方もいらっしゃいますが、そういう方はお姉さんだと思っています。若い男性のスタッフもいますが、本当に息子のような気持ちが湧くんです(笑)。家族のように思うと、言いにくいこともいえるし、優しいこともいえると思うんです。

それが、チームワークにもつながるし、スタッフの人たちの成長にもつながると思うんです。だから、採用面接をするときなんかは、新しい家族を迎えるような気持ちです。

なるほど。家族というのは分かりやすいですね。皆さん、きっと一生懸命に仕事をされているのでしょうね。当院のスタッフは、とてもすばらしいって、本当に思うんです。一人ひとりが真剣に患者さんのことを考えて取り組んでいることがすばらしいと思うんです。そのおかげで、本人達がすごく成長していくということが分かるんです。

最近入ったスタッフたちの中には、「面白い」、「普通では経験できない」というようなことを言う人がかなりいます。面白いという表現は誤解を生むかもしれませんが、つまり、勉強になるということですね。そして、力がついてくると、患者さんの対応に表れてきます。

例えば、夜に患者さんから「眠れない」という電話がかかってくることがあります。それに対して、「大丈夫だから安心してね。あったかくして落ち着いたら寝れるよ。」なんて、本当に優しく話しています。そうすると電話の対応一つで、患者さんが安心して眠れるということがあるんです。

本当に奥が深いですね。自分の成長が本当に患者さんにつながっていきますね。当院では、患者さん一人ひとりに担当の看護師が決まっています。だから、自分の担当の患者さんにず?と関わっていく。だから、すごく深い。精神科の看護を経験した人は、人間の幅がすごく大きくなると思います。

そして、自分の生き方や考え方が変わる。私自身、大きく変わりました。「人間として」ということを考えることになるんですよ。

そして、自分の人間的な成長が、患者さんへの看護につながり、患者さんへの看護がまた自分の人間的な成長につながる。誇れる仕事だと思っています。

最後に、「どのような方に来てほしいか」、西岡部長の言葉を借りれば、どのような「家族」をむかい入れたいかを教えていただけますか。まず、当院に、精神科に、関心を持っていただける方には、とにかくお会いしたいですね。そして、気立てのいい人に来ていただけたらと思います。抽象的かもしれませんが、患者さんの心を支える精神科の看護ということでは、優しいとか言うよりも「気立てがいい」という表現がイメージとしたらぴったりかなと思います。

それと、これは精神科の特徴かもしれませんが、どこかでつらい経験をした人などが、その経験を活かせる職場でもあります。つらい人の気持ちが分かるって、精神科の看護にとってはプラス要因です。だからといって、みんながつらい体験を積んでいなければならないということではないですけどね(笑)。

あと、男性の看護師が活き活きと働いています。そういう職場でもあると思うんですね。それは、他の診療科よりも必要とされる場面が多いからだと思います。男性の看護師にとっても活躍の場、必要とされる場が多いですよ。

こうした方々に限らず、患者さんの心に寄り添う看護に関心興味のある方は、ぜひ一度いらしてほしいですね。
見学だけでも、いつでも歓迎します。